2012-01-01から1年間の記事一覧
全身小説家と言われた井上光晴は「朝もはよからカンテラ下げて」と目の前で怒鳴るように歌っただけ。花田清輝は「終日部屋を真っ暗にして小説雑誌を片っ端から読んでおると」と報告。佐々木基一は「諸君。未来は貸本のごとくに映画を借りる映像時代が来る。…
まぼろしの影を慕いて・・・という歌がある。昔はクラシック調で高らかに、単調に歌いあげられ、最近はたっぷりのお涙調(森進一節)で歌われた。僕にいわせれば両方とも違うように思う。影というものはもっと深遠なのである。よく見ていただきたい。影は寄…
名取洋之助は岩波新書で『写真の読み方』を著し、写真はレイアウトと説明によっていかようにも主張をかえることができると、作例を出して言っている。では例えばこの写真である。貴兄ならどういう説明を付けるだろうか。 近ごろは維新、憲法改正・徴兵、右傾…
「私は正直な政治家です」といえば集票効果があがると、どこの代理人グループが考案したか知らないが、人間として当たり前(僕は嘘つきですが)ではないかと呆れ続ける国民なめ放題の政治はえんえんと続くに違いない。続けたほうが都合のいい一派がいて、続…
「喧嘩はお止め 相撲はお取り」という主に姉が喧嘩ばかりしてる弟たちを諫めるような歌にも聞こえる言葉があった。オフクロなら「喧嘩ばっかりしくさってこのガキども!」と竹サシ振りたて追いかけられる場面である。雨の日には狭い家の中で相撲でもとるしか…
暇ネタです。 散歩中に見かける看板は何によらず検分することにしているが かつては撮影まではしなかった。デジタルの有り難さはそこだ。 ほとんど金をかけないでこうして展示することができるのだ。 古い町には書き残して忍びたい、それを読んで忍びたい人…
3年時まで通っていた小学校は(いま地図でみると標高162mの)山を越えた隣村にあった。子どもの足で1時間以上かかったのではないか。その村に後鳥羽上皇が上陸した。僕の村に比べるとずっと都会で、平地のほとんどない急坂だらけの漁村である。それだけに…
全国レベルの成績が公表されると、テーマが何であっても、ベベタコあたりにいるのが島根県である。それが常態になると慣れっこになって、どうせ貧乏県なんだから、どうせ気の利いた土産ひとつないし、県民は素朴といえば素朴だが愛想が足りんといえば足りん…
ころは昭和。この場所には連日にわたってお立ち台付きの街宣車が居座り、えんえんと「北方4島は日本のものだ」とか、スピーカーを通して訴えていた。訴えている人物はいつもいっしょで、ガラガラ声の小柄な爺さんである。セリフもくり返していたかもしれな…
学校も試験もなんにもない国の住人たちを紹介した水木しげるが大受けしたのを受けて、出身地では何処にでも彼らを置くことにしたらしい。米子駅にも彼らはいたが、レストランとの食い合わせはどうだろうか。感心しないのである。 そもそも墓場生まれのきたろ…
出たばかりの『風の歌を聴け』をアメリカ西海岸への機中で読むつもりで持ち込んだが、読み切れてなかったように思う。内容を覚えてないから。 誰か風をみたか、と問いかける歌があった。君も私も見やしないと続くはずだ。希望が見えるかどうかという歌もあっ…
外国のデザイン学校を視察した日本人が、ちょうど日本のポスターについて講義しているところにでくわした。対象になっていたのは日本では高名なデザイナーとして活躍中であり、尊敬もされていた人の作だったので評価が楽しみ、と思ったのは当然である。 とこ…
テトラ怪人は、大海原から打ち寄せる海波の姿態に浪漫を夢みて海辺を訪れる男女に覚醒を強制する装置として、いまや全国の海辺に侵攻し、埋め尽くしてしまった。岡本太郎は「金平糖のように生きよ」と檄をとばし、取り込まれるな爆発せよと叫んだのであるが…
この景色を前にまず浮かんだのは、ベートーヴェン9番第4楽章で、地の底から怒りを含んでうなるように低い弦の音が湧き上がる上を慰めるような明るい音が舞って交互に織られていく部分だ。 次にはますますひ弱になったと評判をたてられている日本に襲いかかろ…
資格をとるのが趣味という女性がいるものだ。趣味といっても先のことも考えているのだろう。エライと思う。僕は履歴書に「賞罰・資格ともに無し」と書くのが恥ずかしいような、開き直って誇らしいような奇妙な気分でいる。教師の資格は選択すれば、学校時代…
自宅をどんな色に塗ろうと勝手なのである(規制する条例あったっけ?)。 自宅の敷地内に神社っぽいのを造るのも自由か。 しかし何と言ったらいいのか。騒音・匂い・煙・ゴミ山・・・近隣に迷惑な事態を平気で引き起こす人はかつて「江戸仕草」といわれた気…
堀内さんが船頭の絵を描いたことがあった。そばで見ていた僕が「ろ」の位置の間違いに気付き修正を進言すると「エッ?」と意外な方面から声がきたなあ、という表情ですぐに応じたのだが、僕の声に自信の響きを感じ取ったのだろう。 子どものころ舟を勝手に乗…
この光景を見て立ち止らない男とは友達になれない。各人各様のご講評を頂けるかもしれない芸術の秋なのである。コンポジション遊びが好きな人は何処にもいる。彼らが意識してないだけだ。現代美術なんか知らないし、レイアウトだって? 何それ、の鉄工所の玄…
卒業50周年同窓会などという恐ろしげな通知がくる。僕は何周年であっても避けたいほうだが、出席したがる人もいる。自由だ。テレビでそのテの気楽な番組を見ていると酒が入ってか、厚かましくなったのか爺が「いやー、貴女は男連の高嶺の花でしたからなあ」…
川端康成はあるバーで若い作家が「のむのは楽しいですが、あとの支払いが大変です」と嘆くと、「では払わなければよい」と言ったという。あの顔で、あの目でジッとにらんで。真面目な話、払わない先生は今だっているかも知れない。 浦島タロウはホントにいた…
日光猿軍団が一時期大流行だった。中で際立っていたのが「反省しろ!」と強いられた猿が「スンマセン」と頭をかく芸で、いちばん受けていて乱発気味ではなかったか。人々は老若男女を問わず反省するのは嫌いだから「反省しろ!」は叱られ言葉のナンバーワン…
日本はスパイ天国だという説がある。するとスパイにとってこういう光景は盗む価値があるのだろうか。秘密でも何でもないしなあ。政治のほうのは見なくてもわかるし、探偵・浮気も古今東西にわたる何処の国にもあるテーマだし。 しかしただコレだけは打電して…
大阪市立工芸高校の図案科は普通校の入試と同じく、図画の実技は「テニスボールを描け」という問題だけだった。硬式テニスのそれを見た生徒はいない時代だから、大阪の子どもが草野球で愛用していた「やらこマリ」(軟式用の柔らかいゴムマリ。ついでながら…
小林秀雄の『近代絵画』(新潮文庫・1968)にあった言葉だ。中学図画の教科書にも解説としてあった『自然を、円筒と球と円錐で処理すること』は、中学の美術部にいて、クレーやルソーのマネをしていた僕には信じられない言葉だった。そう言われても具体的に…
ほとんど冗談で「行列論」をぶっている。物質も含めてあらゆるものは順に生まれたという考えだ。自然は同時を許さないと仮定するなら、人間の計測不可能な時間差によって順に生まれてくるのである。宇宙の星までもが。だからそれらは行列している。行列して…
アナウンサーが「注目を集めています」と言うたびに、何か変だなあと感じている。日本語として正しいか? 馬から落馬、のたぐいじゃないか。目を特別に注ぐ、のだからモトモト集めているのである。 僕らは5感を刺激されて初めて注目するように造られている…
朝鮮戦争のあった1950年ごろに造られた波止場は、ただ自然石を積み上げただけの構造であった。セメントはまだ贅沢な資材だったのだろう。何千万年以前のとも知れない石は、以来風雨にさらされてきたといっても、見た目も触った感じも変わりなく今もあり、こ…
ディーヴァーが好きである。好きになると盲目になるのか。「オッ、出た」と思ったのである。いさんで上下巻購入し、待ちきれずに車内で読み始めた。・・・しかし何かおかしい。彼はとんでもない新技法に挑戦したのだろうか。読んだことがある出だしだ。下巻…
煎餅屋に続いて、その後の話。前に音楽少女の背中を撮ったのは昼間でした。夕暮に見直すと花屋だった。ここじゃあ演奏会は無理だなあというだけのご報告。あの少女の行末ほどには興味がないでしょうが、事後も大切に扱うわがmanga日記の方針からこのような記…
先日際物の宿命とあってあせってご紹介した人形町甘酒横丁の煎餅、その後である。はやくもお仲間が出品されていた。今回は背広姿の店主が店先にいる。40代後半にみえる大柄な人物で鷹揚な唐様?の8代目という雰囲気であった。 「うちは代々の首相をそうやっ…