2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧
もっぱらオペラと歌舞伎を優先的に録画して、流し聞きをしている。 NYのメトのは日本人むけに幕間に歌手やスタッフのインタビューを、舞台裏の準備中の様子を背景にして、詳しく解説してくれてうれしい(そこだけはしっかり観ている)。ウイーンのオペラ劇場…
「廃車」には馴染んでいるが、「廃船」はさすがに島らしく、継ぐ人のいなくなった状況の一端を物語っている。それは薄々知っているのだが、ちょっとショックだったのは、看板の新しさ、そしてパソコン文字を拡大していることだった。ついにここまで電子野郎…
かずら島は無人島で、大山隠岐国立公園内でも特別地区として保護されている。ここが散骨の島になった。年2回のみ上陸を許されて、散骨される。特別保護区だから船着き場も設置してはならないので、簡易なそれを引っ張っていく。島は10区画に分割されており1…
地球から他の星に移住する時に限定1万人なら、無作為に選んだどこかの町の1万人をソックリ乗せていかないとうまくいかない、と聞いたことがある。 僕らは選良優先を想像するが、長い宇宙の旅では「あんな馬鹿はみたことない」とか「酒ばかり飲みくさって」と…
世界堂を出て、ブルックリン・カフェで昼酒のんで、通りを眺めると何か感じが違う。角の交番が「どうしちゃったの、オイ」だった。前の交番はお邪魔虫みたいにあたりを圧して座っているかに見えたのだが、今や正装しちゃって茶色の壁にチンマリとデザイン的…
30代後半に継いだ家をこぼした。島では解体をこぼすという。無人の家は朽ちるのが速い。専門業者のいない村ではこぼすのは大仕事だ。人手をさがすのも謝礼金の用意も大ごとだった。だから帰る気がないなら今やっておけ、との忠告を受けいれざるを得なかった…
小学館の元編集者で『日本国憲法』も作った島本脩二さんとは「酔人会」という男子4名による、酒呑んで話すだけの(それで充分なんだけど)時間をもっている。 いつも居酒屋だが、このところは島本さんのご自宅にお邪魔することが多くなった。ご自宅は多摩川…
精進料理の中心バッターの胡麻は、上京のたびに築地で多量に仕入れて島に送る。胡麻はヒイキの店の棚のいつもの場所に在る食品のひとつであって、数秒で手に入るのだ。 島で、うちの畑の胡麻を間引いて好きなだけ持って行って育ててみたら、という話にのった…
うちでは必需品で、納豆とも合い、緑のアミ袋に入っていて、出すと案外に冴えない緑色だったりする購入時に油断ならない食品。オクラである。アフリカ原産だとは聞いていた。栽培時にも油断ならなかったのである。あまりの結果に人類の生みの親アフリカを拝…
60年むかし。村の盆踊りは裸電球1灯の神社の境内で行われた。村一番のノドの、声のみによる盆唄がえんえんと続く。子どもらは洗濯したての白い服を着せてもらって、この夜だけは村を走り回ってもよかった。 踊り場では点でしかない電光と月あかりにボンヤリ…
何ですかね、これは。うらみ重なる阿奴に一針を、ってか? たしかにそう見えてもしかたがないが、ぜんぜん違う。 住んだ築地も清洲橋も海そばだった。海といえば塩、鉄は潮風にあたると・・・ここらじゃあ、内陸側よりサビが速いか? あるときそう思った。僕…
ネムノキが群生する道をいくと桜なきあとの桜という風情である。この木は至る所に勝手に生えるらしい。これほど群生するのだから強いに違いない。暮れるとともに葉が閉じる律儀な雑木だ。 隣に公の空き地がある。年に一度雑草を刈ってくれる。ネムノキの小さ…
島にいても、生き方がゴネゴネと流れるテンポは街にいるのと変わらないはずだ。人間関係の濃密さは知れば知るほど深くなり、血縁社会のもつエネルギーが、地下水脈となって思わぬ所から湧いてくるのである。 山野で雲竹のCDを発見してうれしくなったついでに…
成田雲竹と高橋竹山を知ったのは、白黒テレビ時代のNHKインタビュー番組でであった。1972年頃だろう。雲竹はすでに80をこえていた。なぜそれが分かるかといえば、感激して山野でLPを求め、夜中に無人の『アンアン』編集部に持ち込み、作業しながら聞き惚れて…
8月6日に「ボクの道」と書いた、その道である。枝葉が侵食するままになっている。行き止まりで無用では町の「草刈り予算」もつかないから、定期的に刈られることもない。完全に見捨てられた道なのである。 元は段々畑に通う細い道で、60年前には野いちごを摘…
神楽の正しい歴史は知らない。ともかく隠岐の神楽は禁止されてのち、プロの舞い手が少数となり、保存会によってやっと残されている状況らしい。音は太鼓と金属の鳴り物だけだからか、豪壮でリズムの刻み(というのか)がたたきつけるように強い。能登の鬼太…
僕が10歳まで育った村(多井)である。当時は100名ほどはいたと思うが、今は19名。町では「チベット」と呼ばれている。現在住んでいるのは役場も学校もある町の中心部で、多井の人が「あそこは都会だからうるさくていやだ」といっている地区だ。町全体では24…
道路から玄関へ繋がる道ができた。天月(てんげつ)を敷き詰めてある。天月とはサザエのフタである。町ではサザエカレーを土産物として作っていて、大量のフタが使いようもないままに工場のそばに山積みになっているのをいただいてきたのである。踏むとキュ…