2012-01-01から1年間の記事一覧
自ら国技を名乗るなら少しは美意識にも責任を持つべきである。日本は美の国ですぞ。と、ご近所の小言幸兵衛が言いたくなる光景がいつも見られる。妙齢のご婦人と連れだって通れない道である。でも公道なのですよ。 だいたい部屋を新築するにあたって、これだ…
マヤの予言はどうなった? まだ分からないか。以前も年末になるとどこかの雑誌が予言特集をやった。真面目不真面目とバラツキはあったが。 『ポパイ』『ブルータス』でユニークな記事をつくり度肝を抜いた人たちの中に坂本正治さんがいた。前衛芸術家?でも…
山本夏彦は日本人が唱歌を軽視することによって、全世代の心の基底になくてはならない共通性を失うことを心配していた。今や教科書にビートルズがあるらしいが、世代がもう分断されたのだろう。今更どうすることもできない。少子化への対策がすでに手遅れで…
街なかにポツンと立っているように見える物がある。ポツンとしていることでそれら は目立っている。しかし暇そうに立っているようでも、その多くは車両の不規則な侵入 を防ぐ番人である。公道では曲がり角にUの字を逆さにしたのや、太い鉄棒のがどこで でも…
18日に書いたテラさんをおくる会が明日20日だという。 その20日は同時に堀内誠一師の誕生日でもある。もし存命なら80歳になる。まさか54歳で亡くなってしまうなんて考えもしなかった。写真はパリでの一家だ。45歳くらいか。『ゴドーを待ちながら』でベケット…
そいつがついに上陸して咆哮したのを聞いて、そいつが最初から<鳴いてる>のでなく<泣いてる>とわかってショックを受けた少年たちは多かった。洋上で実験のために島々を吹っ飛ばし、島民を蹴散らかし、海を汚して、戦勝した国々は競って爆弾を造った。そ…
この本の構成者(兼、文章・編集)はフリーランスの編集者・ライター寺崎央(ひさし)である。通称テラさんだった。1冊ほとんどを彼一人で書いた。書きに書いた。それで平気な顔をしている猛者であった。レイアウトもほとんどを僕一人で担当したから、現場は…
かつてベニスもかくありなん、という町が深川だった。北からの大船は荷を積み替えて小名木川を次々と出入りする。諸国からの物産が集積し出て行く町が不景気なわけがない。町は栄えに栄えていたのである。その小名木川にかかる万年橋は広重や北斎にも登場す…
安部晋太郎が尖閣に何らかの施設を設置すると「公約」しているというのは本当だろうか。世界の時事問題ウオッチャーである田中宇は、もし公約通りに事が運べば、尖閣で戦闘が起きる可能性があると書いている。初の領空侵犯となるプロペラ機を飛ばした前日に…
通った中学は町工場のど真ん中にあった。中にプラスチック工場があり、つねに吐き気が起きる異臭を放っていた。公害という言葉が無かった時代である。校庭のそばの運河は真っ黒な水がノロノロと流れ、あちこちでガスを吹きだしていた。僕にとってプラスチッ…
先日もこんな写真を出した。2分後には消える一期一会の付き合いの影である。どうしたって等伯を思い出すが、懐具合とともに憂国の想いも重なる。 その気分のままに書店に入ると、安部晋太郎ならぬ龍太郎の『等伯』があった。晋太郎ほどにも龍太郎を知らない…
時に、この世は己の姿を写す鏡だと思わないか。姿とは心(感情)や脳(知)のいまの有り様をいう。己のどんな部分とも関係の無い外の姿が何故己が鏡に映ってるようだと感じるのか。そんな意味でこの世に己と関係のない状態は存在しないと想わざるを得ないの…
「火に油を注ぐようなこと言うんじゃねえ」とかいう。浜町の川べりに消防署がある。川がわに大きな垂れ幕、道路がわにこんな小さいのがかかっているが、何故だか遠慮がちだ。 近くに見えていても川をへだてて、皆まで言わないと決めたかのような青い看板があ…
日本橋人形町は戦災を受けてない町だ。江戸期には複数の歌舞伎小屋があって遊郭もあった。そのせいで、こういう作品に出会えるというのでは、たぶんない。いやまあ、じつは作品でも何でもないのだが。変型階段である。変型だが昇降し易いばかりでなく、昇降…
「寒い時季には枯れた菊花が良い」という吉田兼好が言いそうなセリフを思い出しながら、京橋築地小学校の金網にすがりついてる菊花を見た。確かに生気は消えているが次元の異なる生気のようなものがある。それで今度は上田秋成に『菊花の契り』があるのを堀…
生後40日で隠岐島に疎開した。させられた、が正しいか。親父は戦地へ、4人の子と母親が親父の生家に転がり込んだのである。大変だ。祖父母は健在であった。祖父は江戸末期の生まれで、生まれたころは龍馬も生きていたのである。僕はこの江戸生まれで桶職人…
草 の 戸 も 住 替 わ る 代 ぞ ひ な の 家をのこして芭蕉は写真にみえる万年橋たもと(白い塀で囲われている)の家から奥の細道に旅立った。それにしてもここらあたりにある芭蕉の2つの像のデキは情けない。雛の家の跡地は例によって浮世絵のここらを描い…
狭い路地から路地へ、まるでジャングルを跳び回るような路地少年の物語を描きたいと宮崎駿は『ラピタ』の前に語ったが、果たしてくれていない。もう描かれないかもしれない。一説によると少年が主人公の話は宮崎の場合には客の入りが悪いと。少女が好きなん…
夏休みに親父のステテコなんかはいて、まいにち朝から夕刻までテレビの前でゴロンと高校野球をみている。ヘタすっと、そのままナイターで長嶋をみて「プロはやっぱりちゃうなー」とか。家内工業主の親父はしまいには使用人にもしめしがつかぬと「ったく、ち…
あいつ何処行った? と、木の中で笑っていたのであった、という暇ネタである。クレーにも見えるなあ、と楽しめた。忙しい人には忙しいようにも見えそうだし、暇な人には「ちょっと話していかない?」というふうにも見えるだろう。 というわけで今回はクレー…
バスだけが頼りの旅行者にとっては、3時間に1本しかない便に遅れたらおおごとである。宿でもらった時刻表ではそろそろなのだが、教えてもらった地点にバス停は見当たらない。ほかに何もない道だ。みつけられないはずがない。あせりまくってうろついた後に「…
間もなく堀内さんの誕生日である。12月20日だ。己のは忘れたいが師のは忘れない。「射手座って凄い人がいっぱいいるぞ」とうれしそうに話すあたりは、僕にとって謎の人であったが、一人トランプ占いを旅先のベッド上で展開して「うーむ」とうなったりニヤつ…
文化財に値する古い民家がつぎつぎと解体されていってると番組は訴えていた。僕らがどうすると言ったって、どうしょうもない。見て暗い気分になっただけだった。 南方熊楠は明治期に鎮守の森を伐採しようとした金権猛者に対抗して一人で反対運動を起こした。…
以前この掲示板の設置代がひとつ14万円かかると知って仰天したことがあった。今の値段は知らないが、まさかそんなではあるまい。もう都知事選のポスターが貼られていて、衆院選の告示待ちである。「この日本を立て直さねばならない」と絶叫する声が2週間流れ…
「万全の予習を怠らない人間を天才という」エジソンの言葉だそうな。 ダメだこりゃ。今さらどうあがいたところで天才とやらに近づくことは無理だ。 いやいや近づこうと思ったこともないが。天才を見たこともないのだから、エジソンさんがどう定義しようとも…
「若いころは石の味なんかわからなかったけども」とお婆さんがつぶやく番組があった。その婦人が住んでいるのは石の町と呼ばれる生産地である。石だらけの町で育ったが、逆にそのせいでか石のどこがいいのか、わからなかったのだ。 「石の味がいいね」という…
何とか街金に頼らず資金の目処はついた。だが余裕はない。線路の向こう側にしか物件がなかった。昼間見るとますます村八分ふうだなあ。この条件でも「男になってみろ」ってか、アニキよ・・・。おんぼろぼろろになるかも知れんが、いちかばちかだ。 もとは商…
エルンストが描いたのが有名だが、ほかのシュールリアリストたちも競ってフロッタージュを試したに違いない。ただエルンストだけがそれを美術史に遺る「作品」にできたのだろう。 小学校4年の時に、美術クラブでは教師が何を思ったか、布きれによる「パピエ…
専門高校に入ってバウハウスのデザイン理論を取り入れた訓練を受けた上に、上京したらニューヨーク・スクール流入の全盛期であったから、それを乗せてプレスしてしまい、そのディスクをはずせないで終わりそうな感じがする。恐ろしいことである。脳の美術部…
「にょいん露わに 村ねむる」とうたった加藤イクヤは最近亡くなった。俳人であり、日本テレビの照明部長で、イレブンPMなんかを照らしていた。新宿2丁目のバー「ナジャ」にスーツ姿で現れる珍しい人であったが、部長なのだからしかたがないのだ。そしてい…