2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

光る竹(201310030・3.5度3:00)

江東区常盤あたりに竹屋がある。 竹という素材には工作欲がムラムラと湧く。じつのところ大物の工作したことは、ほとんどないのにだ。桂離宮のアプローチには、生えてる竹を数十本、先端をぐーっと地面近くまで曲げて止め挨拶させている工夫があって、可哀想…

火の用心(201310029・2度2:50)

日本橋浜町に炭・薪屋がある。 10歳まで風呂は木造か五右衛門で、薪で湧かした湯であった。薪のいちばん良いところは木の燃える香りが漂うことだ。その中で入浴するのは今や贅沢である。居間には囲炉裏があって、ここでも炭や薪をくべた。薪取りは一家あげて…

デザインを気にしてる人もいるのだ(201310028・0.5度2:35)

ずっと昔の話。『週刊読売』の表紙のレイアウトをしていた。新聞社内に編集部はあって、同じ階には巨人軍の事務所もあり、廊下でデカイ有名選手とすれ違ったりするのが楽しみだった。ここのエレベーターに一人で乗っていると、手塚治虫大先生が一人で乗り込…

スタッフになりたい(201310027・0度2:55)

現『ブルータス』編集長であるN氏の父上はNHKのスポーツアナで、ダントツの腕をもっていた。野球のナイター中継でも試合開始前にカメラの台数、その位置、そこからの映像を見せ、球場が立体的に想い描けるように導いた。その上で進行中にも何かあればすかさ…

にわか(201310026・0度4:10)

建て替える前の新橋演舞場の7、8月公演は毎年松竹新喜劇と決まっていた。それが何年続いただろうか。僕はたぶんその全公演を観ている。内容を面白がってくれる人にしか自慢できないのが残念だが、藤山寛美が目当だった。席は装置の構成を観たいためもあって…

下宿屋の娘(201310025・3度5:55)

1802年に描かれたモーツアルト夫人である。コンスタンツェという。モーツアルトが下宿した家の娘だったはずだから、よくある話。彼女には悪妻説もある。夫婦のことに他人がとやかく言う資格はないが、人類史上のスターの妻であるからしかたがないか。 悪妻説…

やり繰り(201310024・1度2:40)

バルザックが借金王だったことを知って、ますます好きになった。ロダンのバルザック立像は、そういえば小説のほうではなく、そっちの王様の貫禄がよく表現されているか。 借金ならモーツアルトも負けていない。史上初のフリーランス作曲家で、セレブ女子のピ…

忘れられていくのがいい(201310022・3度3:30)

山本夏彦は「祖父の父親がいかなる人間だったか知っている人は少ない。人はそうして忘れられていく」と書いた。たしかに僕も知らない。親父は知っていたろうが聞くこともなかった。推測では農漁業従事者だろうなあ。江戸時代生まれだ。祖父も江戸時代生まれ…

弱味・その2(201310021・1度2:15)

路地(狭い)が好きだというのは弱味か。弱味ということはないかもしれないが、変わった趣味であるのは確かである。「狭い路地を見て歩く会」などというのも聞いたことがない。そういうのは無いほうがいい。ライフル協会の餌食になっても困る。だから勧めな…

弱味(201310020・1度2:50)

僕みたいに15歳でデザイン学校に入る人間はそう多くはなかった。その当時には普通の豊かでない家庭の子はほとんどが早く就職する習慣だった。だからこそ就職率が高くて、しかも自分の好きなことを学べる道を選んだのである。美術が好きだったが、食えないこ…

気合い(201310019・1度3:00)

◎まず以下を勝手に引用させていただく。・・・・・・・・・・引用始め「鼓の家」という番組(NHKハイビジョン ドキュメンタリー)「亀井令子さん一家は5人全員が鼓を打つ。彼女が高校生の時に記録された『ある人生・親子鼓』の映像を交え、継承される伝統芸…

泉(210310018・−2度4:05)

マルセル・デュシャンに20歳ころ感化されて近ごろやっと病気が治ってきたようだが、血肉の一部になってしまったのだろうか、排泄してしまったのだろうか。何年か前に横浜の美術館で再見した時には、何とも感じなかったから、こっちの感性がたんに加齢によっ…

ご町内の長物といわれて(201310017・−1度4:45)

ヒマネタ植木鉢大賞のグランプリはとうの昔に審査員の間では決まっていた。といっても審査員は僕ひとりですが。先日もそのグランプリ2作を築地で眺めてきた。無事であった。月島付近に作品がたっぷりあるが、傑作ぶんは再開発によって昨年消滅した。が、ま…

植木鉢大賞(201310015・10度10:50)

ではお待ちかねの誰も待っていないヒマネタ「植木鉢大賞」をアカデミー賞でインチキ・リンカーン(リンカーンがインチキ男だというのは最近読んだアメリカ小史の受け売り)話でもって又もやスピルバーグが賞を取る策をこうじているのに連動して先に発表しち…

新しい修業(201310016・1度3:55)

現役を勤め上げると過去の地位の高低に関係なく協会の下っ端から修業を再開することになる。デカイ男がマゲを結い上げていると年嵩に見えるが、じつは社会人としてはまだまだの若僧だという認識は正しい。 東カタを撮った画面ではこれまでにもかつての大スタ…

角丸は守られたか(201310014・3度7:15)

10年近くも前に『デザインを味わう新聞』なるものを刊行していた。A3判で部数は30。勝手に友人に送りつけていたのだが、それは60歳でパソコンを自修し始めたための練習台でもあった。6号まで作った中に「角丸特集」があった。身の周りには角丸処理をした物が…

日本人がいる(201310012・−1度6:35)

日本人は日本人論が好きだと聞いたことがある。みすず書房から出ている『かくれた次元』では他人との密着度の許容度の高低が国によって違うとあり、日本人は高いほうだと理解し、何となく納得した。身に覚えがあるのである。例えば厳冬の夜にフンドシひとつ…

自分なら(201310013・2度5:30)

堀内誠一さんと車内で中吊りポスターの鑑賞会をするのは毎度の楽しみ兼授業でもあったが、福田繁雄先生に「自分ならどうするかを考えて観るクセをつけろよ」とクソ生意気だった学校時代に叱咤されたの思い出して、ウカツなことは言えないのだった。 端くれデ…

劇的とは(201310011・1度6:10)

ベケットの『ゴドーを待ちながら』のト書きには「舞台には木が1本ある」と指定されているだけだ。どんな木だかは書かれていない。これほど簡素だから特別な予算はかからず、何処ででも誰でも上演することができる。僕はこの50年の間に10人近い演出家の考案…

カズラ島(20131009・2度6:15)

カズラ島は検索したらすぐに出てくる有名で?小さな無人島である。なぜ有名になったかといえば散骨の島だからだ。国立公園内でも特定地域であるから将来も無人島内に碑すら建てられないので島全体が墓である。 無宗教だとまわりに言いつつ、墓を守ってくれる…

占領拠点(201310010・1度5:10)

浜松町で用を済ませて文化放送のヒイキにしてきた照美の大看板にしばし見入って目を転じるとタワーが快晴の空にそびえていたので新年を祝ってついでに登ることにした。30年ぶりかなあ。僕はバカのくせに1mでも恐怖症の気が出る。それにタワーはゴジラにとう…

気配が残る(20131008・1度6:00)

後鳥羽院が配流されてから800年経つ。院はここで18年間暮らして59歳で崩御した。居住跡をこれまでに何度も訪れて、うんと若い頃はあまりにも何もないので「なーんだ」と拍子抜けし、もう来てもしょうがないなあと感じたものである。いまも院についての知識の…

標高246、2メートル(20131007・3度9:45)

山とあるからには山である。海岸のゼロから登るしかないので、これでもバカにならない運動量になる。標高246、2メートル。小林泰彦さんの名著である低山案内にもさすがに入れてもらえないが、町いちばんの高さを誇る家督(あとど)山の頂上には無国籍にしか…