高嶺の(20121105・9度5:10)

 卒業50周年同窓会などという恐ろしげな通知がくる。僕は何周年であっても避けたいほうだが、出席したがる人もいる。自由だ。テレビでそのテの気楽な番組を見ていると酒が入ってか、厚かましくなったのか爺が「いやー、貴女は男連の高嶺の花でしたからなあ」とかがなっている。世辞であり本音でもあるのだろう。どうせこうなりゃ、言いたい放題だ。
 
 高嶺の花。ガキのころ崖をよじのぼって赤いユリをとったことがあり、その体験は今でも悪夢として時々出現する。高嶺の花などという諫言も知らないから、見たことのない美しい花の魅惑に負けたのである。生き残りたけりゃ諦めることだが、何故か突然蛮勇をふるう瞬間が少年にはあるのだ。志賀直哉にもその手の話があって教科書で読んだ。のぼったのが屋根だか木だか忘れたが。つまり少年にとって蛮勇は万有という親父オチをかましたいだけです。
 写真は本日も誘惑する高嶺の花たちであるが、花が十人並ではさすがにのぼる少年もいなかろう。近ごろの子は賢くなったし。