そう簡単には割り切れないよ(20121031・10度5:00)


 小林秀雄の『近代絵画』(新潮文庫・1968)にあった言葉だ。中学図画の教科書にも解説としてあった『自然を、円筒と球と円錐で処理すること』は、中学の美術部にいて、クレーやルソーのマネをしていた僕には信じられない言葉だった。そう言われても具体的にどう描いていいのかわからない。二科展に行って鈴木信太郎のリンゴの木の堂々たる絵に感動していたのだから。クレーは色をまね、ルソーは小学校時代に貸本で読んだロビンソン・クルーソーを引っ張っていて南の孤島でのサバイバルを夢想していたからマネたのである。

 良くわかりもしないまま頭には残っているらしく「お、セザンヌがあった」と声に出してうなり、撮った写真がこれだ。人生も自然もこうは割り切れませんよね、セザンヌ先輩。