カミハテって、ハテナ(20121117・10度8:00)

 3年時まで通っていた小学校は(いま地図でみると標高162mの)山を越えた隣村にあった。子どもの足で1時間以上かかったのではないか。その村に後鳥羽上皇が上陸した。僕の村に比べるとずっと都会で、平地のほとんどない急坂だらけの漁村である。それだけに視点の変化が面白く、本土からの大きな船も着いたせいか華やぎがあった。
 母に頼まれて、一軒だけあったよろず屋に食用油をいつも買いにきた。お駄賃のあめ玉一つをなめながら山を越えるころには母の待つ我が家の灯が頂きから見えた。夕暮れにならないと電灯がつかなった時代である。

 映画『カミハテ商会』はその漁村が舞台だ。撮影中は村人総出で食事や宿の世話などをしたと聞く。イカの刺身はもう一生分いただきました、とも。京都造形芸大の理事長が町の出身者だという縁で成ったことかもしれない。映画のデキはまだ見てないので分からない。僕が油を買ったよろず屋は写真のと似ている。そんな僕にはデキなんかどうでもいいのだ。まさか60年もたって映画でこの村が見られるとは思わなかった。