万年橋(20121216・18度10:30)

 かつてベニスもかくありなん、という町が深川だった。北からの大船は荷を積み替えて小名木川を次々と出入りする。諸国からの物産が集積し出て行く町が不景気なわけがない。町は栄えに栄えていたのである。その小名木川にかかる万年橋は広重や北斎にも登場する古い橋だ。芭蕉が渡り赤穂47士が渡ったが、今はむろん鉄骨である。これを渡り女橋と呼ばれる隅田川にかかる清洲橋の迎えを受けて、部屋に千鳥足で帰還するのだ。
 今宵は選挙日の前日だ。何がどうなるか。このまま茅場町まで歩いて、有り金の3千円をはたいて日本株でも買うか。などとは酔っていても思わないが、何か今日はいつもよりボヤボヤの橋でないか。どうした? 酔ってるおれが悪いんか、政治が悪いのか、いよいよ直下がきやがったか、カメラが限界にきたか。ぶれる両手でシャッターを押す。信号がみんな赤に写ってた。