独で活きよ(20121205・隅田川岸6度0:05)

 夏休みに親父のステテコなんかはいて、まいにち朝から夕刻までテレビの前でゴロンと高校野球をみている。ヘタすっと、そのままナイターで長嶋をみて「プロはやっぱりちゃうなー」とか。家内工業主の親父はしまいには使用人にもしめしがつかぬと「ったく、ちょっとは手伝ったらどや。ウドの大木してからに」と嘆く。オフクロは何故だか「へへへ」と笑って通る。
 
 ハイ出ました。「ウドの大木」。これだっせ。たしかに親父樹の前でぬくぬくと元気に、彼なりに大木となり、無駄に土地の養分を吸っているが、食えないこともないらしい。そう言った本人は食ったことはないようだったが。つくづく大きいなあと感心、こんどは食ってみるかと無謀にも考える。

 しかしこの役立たず、漢字では古来から「独活」と書かれたらしい。どうです。独で活きるですよ。じつはエライやつかも知れない。癌の特効薬とか。と思ったが、そばに生涯終えた姿をさらした仲間がいて、そいつは土色に小さく縮み、溶けつつあって、スンマセンと水に還るようすであった。うーん、なかなか感慨深いものがある次第だ。