標高246、2メートル(20131007・3度9:45)

 山とあるからには山である。海岸のゼロから登るしかないので、これでもバカにならない運動量になる。標高246、2メートル。小林泰彦さんの名著である低山案内にもさすがに入れてもらえないが、町いちばんの高さを誇る家督(あとど)山の頂上には無国籍にしか見えない神社があった。山の名前とどっちが先は分からないが家督神社という。
 山一帯は放牧地である。すべて黒い肉牛で、高級品として出荷される。潮風を吸った草には特別の効用があるらしい。町には本土で処置されて冷凍で入ってきて、やはり高級肉として提供されているが、めったには食えない。
 そんな山も頂上までセメントの道が通り、車でも登れる。ただし道が牛糞だらけであるのを覚悟せねばならない。たまには牛どもが道に寝ていて参入者を珍しいものを見るようにして動こうともしない。
 眺望はこの高さのせいか民草の暮らしが細部までくっきりと見える点が大いによろしい。春には山菜摘みの競争になって、また牛どものひんしゅくを買うはめになるのだろう。