デザインを気にしてる人もいるのだ(201310028・0.5度2:35)

 ずっと昔の話。『週刊読売』の表紙のレイアウトをしていた。新聞社内に編集部はあって、同じ階には巨人軍の事務所もあり、廊下でデカイ有名選手とすれ違ったりするのが楽しみだった。ここのエレベーターに一人で乗っていると、手塚治虫大先生が一人で乗り込んで来られ生涯の宝になった衝撃の記憶を得たりもした。仕事は週に1回編集長とサシで3時間ばかり拘束されるだけで楽チンだったが、ときに夜明けにたたき起こされ「すぐに来い!」と命令された。軍隊調で文句は言わせない空気。大事件発生で急きょ表紙差し替えだ。ついでにグラビア10ページの差し替えもやっていけ、という。
 
 そんな時にフラリと現れて、僕が組む写真の説明をテキパキズケズケ調でするおじさんがいて、おじさんは何となく部全体に対してエバっている。これが新聞の整理マンなのであった。彼が赤青で1本になってる鉛筆をくるくる回しながら指示を描くのを見て「ホントなんだ」と驚いたのを覚えている。新聞はそれ1本で何でも指定すると聞いてはいたのである。「おう、若いの、おめえがやるのか」という場所ではこっちもベテランのふりをしていなければナメられると「雑誌のレイアウトはオレの縄張りだ」と肩に力がはいるうえに野次馬の血が騒いで緊張したなあ。編集長はそばでニタニタしていやがるし。そのあと平凡出版に行くと、いつも通りのホンワカ空気が流れておりホッとして眠くなった。