占領拠点(201310010・1度5:10)

 浜松町で用を済ませて文化放送のヒイキにしてきた照美の大看板にしばし見入って目を転じるとタワーが快晴の空にそびえていたので新年を祝ってついでに登ることにした。30年ぶりかなあ。僕はバカのくせに1mでも恐怖症の気が出る。それにタワーはゴジラにとうの昔に張り倒されたはずだし陰謀論者が日本占領の拠点だと騒いだりするし美人照明デザイナーの石井先生ががんばって照明設計してくれてもエッフェルの塔と比べるといかにもチャチなので、情けない物体の象徴のように感じている。ヘソ曲がりついでに言えば借部屋の窓外に今見えているツリーもその子分でしかない。

 入ってみると客はほとんどが中国語である。景観はご想像通り。上り下りのエレベーターの使い方は複雑で階段も併用しなければならない。今どきですよ。全体の印象は30年以前と変わらず場末の秘宝館の匂いがする。チャチさや秘宝館臭を偏愛する人もいるので代表しての感想とは言えないのだが、僕はチャチな物はそうにしか見えない派に属しているらしい。入場料830円の値打ちがあったのは床のガラス窓だった。ここのガラスがピカピカに磨いてあるのは立派である。というか上に立てる人が少ないせいで汚れないのだろうなあ。赤長ストッキングの一人旅らしい子が堂々とガラスに乗って撮影していたのは絵になっていて見惚れた。ガラスの下にも足があったし。