かずら島(2013823・特別保護区の墓所)

 かずら島は無人島で、大山隠岐国立公園内でも特別地区として保護されている。ここが散骨の島になった。年2回のみ上陸を許されて、散骨される。特別保護区だから船着き場も設置してはならないので、簡易なそれを引っ張っていく。島は10区画に分割されており1年毎に散骨する場所を変えていく。10年たてば土に還るのだろう。この件は以前にも書いた気がするが、近影をアップする。
 
 数年以前に村にあった我が家の墓を閉じた。草むしりをしてくれた人もいなくなり、荒れるからであった。そもそも親父は生前に信貴山のそばに移したのに、村のもなぜか残してあった。これを正式に閉じるのもまた大ごとだった。
 神主をほかの地区からよんで拝んでもらい、狭い墓地に業者が機械を入れ墓所を掘り返し、骨を拾った。かつては土葬だったから骨が出るのだ。祖父の棺は桶型で、深く掘って埋めたのを、厳粛な気持で60年前に見て覚えていたが、骨は数個しか残っていなかった。そんな骨でも役場で許可を取り、焼いてもらわねばならない。そうして粉になってしまったのを大阪に持ち帰り、今度は禅宗の僧に拝んでもらって埋葬した。

 骨を拾った墓所は墓石を取り払い、セメントでふさぐ。なぜか中心部に直径10センチほどの穴があけてあった。昨年の夏に墓跡を見にいくと、その穴からユリの花が立ち上がっていた。祖父母と早世した姉のことを想ってしまう。
 大阪の墓所も遠いし、こちらにまた墓をつくる気はしない。いずれ一家全員をかずら島に移す気でいる。