おう、マメだったかや?(2013411・12:00)

 ゴルフ場みたいな野原が好きだ。通学路が放牧地の中も通っていたからだろう。牛たちは時に数頭で道を占領して営業会議などしており、それにおびえてしまう女の子なんかにはワザと寄ってきて「今日空いてる?」からかったりするのである。あの顔で。僕らみたいな乱暴者には道をあける。青竹で尻をイキナリ叩いたりするから。あるいは乗ろうとしたり。たまには放牧地の中を牛糞ふみつついっしょに走る。子牛をからかう。顔をべろべろになめられる。だからこういう野原が好きなのだ。

 牧(マキ)は今もある。もちろん鉄条網の柵で仕切られている。車が通る時代だからね。好きなら入って顔くらいなでても平気だろうが、今や乱暴小僧も街生活60年を経て、彼と交遊関係を再開する気分でもないからボーと見ていると、あっちもボーとしている。でフト思いだしたのは、谷岡ヤスジの牛は会話が堪能だったから、あのように騒がしかったんだなあということだった。