アイ・ターン(2013328・5度4:20)

 町にこれまで縁のなかった人が入ってくる。街ではさかんに活動していたと想われるタイプの人も多い。馬を乗り回したいがために移ってくる人なんかはめずらしいが、それもいる。ある人は宅地、ボートだけではなく、山地も買ってしまう。それはいいが山なんか持ってしまうと、どうしたらいいかである。雑誌の絵をそのまま持ち込んでしまうのもまずい。自分の山であっても伐採などには経験と先を読む知恵が要る。山は海とも繋がっているから、風雨によって何が起こるかについて無知であってはならない。生態系を根本から学ぶ必要があるのだ。
 
 僕の持っている山地は祖父が遺してくれたが、余りにも狭くて放置して60年経った今では役場で地面図をもらっても道もなく入れないだろう。自然に公的なものになったのだ。わずかな税金だけは私的に払っているが。
 アイ・ターンの人はそういうのを買うのだろう。持ち主がとうの昔に街に出て、面倒をみる人もいない山だ。正しく整備すれば山にとっても良いことになる。だがもはや現地にも街にも山を正しく整備できる知恵を身につけた素人はほとんど皆無だ。とうの昔に現地では山は稼ぎの場ではなくなっている。では何のために整備するのだ。それが分からないからと僕のように放置しておいていいのか。
 アイ・ターンの人の居間に上がり込んでストーブを見せていただいた。とてつもなく温かいという。そうだろうなあ。ただ山に入り、木をおろすことをいつまで続けられるかである。万事は絵のようにはいかない。