ここに花あり(2013326・3:00)

 『ここに幸あり』という歌謡曲の傑作を思いだす光景だった。海沿いの地区のはずれで出合った。あと少しで「行き止まり」の標示がある場所だ。誰がここまでこれを見にくる、というのだろう。
 だけど誰かが必ず来るから、人は花を活けるのか。誰かのために活けるのか。自分のためだけでも充分ではないか。少なくとも僕は今日これの鑑賞者のひとりだったが。
 
 花器は激しい海風から固く抱かれ守られていて、なにがあっても活け続けるという強い意志が伝わってくるかのように見え、前の「海」そのものに祈りを捧げているようにも思えてくるのである。地区の名前は「御波(みなみ)」という。