都会ずれ(2013324・10度17:00)

 巨大岩牡蠣をサザエとともにバケツ一杯いただく。潜って獲ったのは60男だ。牡蠣やサザエの表面を観ていると、近くの岩の表情と似ているのに気付く。
 「あ、桜」と思ったら杏(あんず)だという。ふっくらしている。「こいつは落ちた実を食うだけんね」60男が声をかけてくる。そうだった、そうだった、落ちてくるのを待つのだった。思い出したよ。
 
 自然はおいしいだの、ワイルドだの言ってるのは都会ふうの表現で、メデイアずれをしているのだろう。ここでは日常的に貝を獲り、落ちた実を時には拾う。縄文時代から家族の滋養と楽しみのためにやってきたことを継いでいるだけなのだ。自然の営みをどうこうできるわけがない。それは生意気だよ。
 浜辺の石にワカメが何本か付着してフワフワと泳いでいる。それくらいなら獲れる。ワイルドだぞ。