雑草園(2013322・北東向き14度10:00)

 借家の庭の隅に電柱が立っている。「NTT諏訪幹15H2 Eneralaヒガシ支9」と標札にあるが、むろん暗号だろう。
 この根元が寂しげなので雑草園をつくることにした。といってもそこら辺の適当な草を20種ほど引っこ抜いて移しただけの1時間庭師なのだが。まだ本格的に畑づくりに参入してないので、雑草との関係もこれほど穏やかである。そのうちに戦争になるだろうということは、甲斐信枝さんの『雑草のくらし』を愛読してきたから推測できる。

 この絵本は甲斐さんが京都郊外で5年間にわたって、特定したあき地を観察し続けた記録である。雑草どうしの戦争史だ。地中での雑草の根の戦いまでも取材し、雑草といえども戦争となると弱肉強食を露わに見せつけて、暗中で蠢く命のやりとりにはどう猛さまで感じさせ迫力がある。
 この庭でも巨大なセメント柱の15H2だかEnerala怪人だかに微力ながら雑草軍団は挑もうとしているのである。