密談の中味は(2013223・1度6:00)

 清澄に移ってから間口が2間ほどの店になったが、以前は深川で大きくやっていた。そのころの仲間がいまも来てだべっていく。話してるんだか、仕事してるんだか。狭い店内に修理してる自転車を中心に、密談中のように数人が黒く固まっている。酒の匂いも、珈琲の匂いもしない。
 声をかけると「ああ、パンクだな。そこらに置いてってくれ」こっちの名前も聞かない。しかもそう言ったのは店主じゃなくて仲間だ。「いいのかよ」
 いいのであった。冷房はがまんするとしても、開けっ放しで川風がきつかろうに、親父たちは平気なのである。清洲橋のたもとに暗号のように看板が出ていた。親父デザイン賞を受けた作品だ(審査員は僕だけ)。

 いつの間にかそれが消えている。下町博物館にでも収納されたか。