無能の人々(2013219・5度6:25)

 他人のうちの玄関を撮っていても、まず怒られそうにないというケースがこれだ。こっちも「やった奴出てこい」と、一戦を交えても良い気分でいるから気楽だ。一戦てったって、すぐ酒になりそうな感想戦であろうけど。酒は向こうもちなのがこういう場合のしきたりである。いや、あぶったスルメでいいですよ。落語『寝床』に招き方の見本がありましょ? 『寝床』は黒門町の師匠のが一番だ。

 男は箱が好きだという話を友人宅で酒酌み交わしつつしていたら、奥方が「中が空っぽのが一杯あるんですよ」と、台所から菜箸片手にお出ましになり訴えていった。本人は虚をつかれてか「ううう・・」だったが「でも奥さん、女性はカゴが好きですよね」と同座の友人がすかさず対応して落語『酢豆腐』まんまのだべり吞みは果てしなく続いた。『酢豆腐』も黒門町がいちばんだ。

 ここではポコンと小石を乗せてしまう流儀がまだ幼い。修業が足りん。つげの『無能の人』はそれにしても、よくできた漫画だなあ。どこにでも彼らは居ますよ。かくいう僕も立派な無能の人を目指して修業中であるし。