大伴昌司の仕事(20121023・20度5:00)

 現代美術館での特撮展は大盛況だったようだ。たしかに充実した展示で、女性客が多かったというのは意外だった。同時に弥生美術館では大伴昌司展があり、あのへんを偏愛する人には忘れられない年になっただろう。ただ大伴のほうは特撮とは違い印刷物関連の展示だから見た目には弱い。僕は大伴の仕事の中でも『少年マガジン』のグラビアページが好きでスクラップしていたほどで、数年後に担当した『ポパイ』の誌面デザインは大伴に捧げているという気分だった。大伴は35歳で急逝してしまったのである。

 大伴のグラビアページのファンは大勢いて『ポパイ』でも、外でも彼らと単行本をつくったりページを作ったりしてきた。その作業には分かるやつにしか分からないという秘密結社めいた趣があったが、今でもそうした雰囲気を保持しているのが大伴の魅力なのである。ここに掲げたのもそうした大伴特集の一部である(『本とコンピュータ』2004年)。このコラムを見ればスクラップせざるを得なかった理由を察していただけよう。『少年マガジン』はそのためだけに買っていたので『明日のジョー』の力石の死をめぐる大騒ぎなど知ったことではなかった。まあクロスカウンター論議には参加したが。