天気だって(2012930・21度5:00)

 『オリーブ』の編集部では何でもかんでもに女性連合が「かわいい!」を連発するので、呆れはてて「今日の天気もかわいいだろう?」とからかったことがあった。
 かわいいという言葉や語義については『オリーブ』のずっと前に原田治さんと共作した『エキストラオーディナリー・ドッグ』という原田さんのイラスト集(パルコ出版)で2人で筆談をしてさんざん考えた。
 そこで得たのは「かわいく見えるだろうと考えてしている行為はかわいくない」というものだ。これは幼児から老人まで通用する。計算高いやつはかわいくないのである。対して日向ぼっこしながら繕い物をしている老婆は遠くから見るとかわいいということになった。しかし爺さんは何しててもかわいくない。それは謎だ。小舟に一人すわって小魚を追う爺さんは日が当たっていてもボンヤリしていてもかわいくない。いまや日常作業としては繕いと価値は同じ程度であるとしてもだ。 
 可愛げのある男もいるという話は聞く。多くは女性連合からのエールであるが。でも例えが思いつかないのだ。森の石松はかわいいだろうか。石松に「お前かわいいってよ」と言ったら1本差しを抜いて追いかけてこないか。ちょっと話が難解かつ飛躍し過ぎました。