幅は変わらない(2012929・19度5:30)

 東山という高名な日本画家がいた。銀行の商戦用カレンダーにいちばんに採用されるような絵である。悪いと言っているのではない。中に小高い丘へ続く道を描いたのがあって、そのテーマは月並みで紹介している番組も月並みだ、などと思いながら階段を撮るのである。東映映画で嫌になるほど観たではないか。街道を傘振りつつ遠ざかっていく主人公たちとともに。行き先に地獄があるなんて考えたことはない。
 遠近法を中学図画で教わった時は驚いたが、あれで製図を起こしても<何だか違う>のである。そんなふうには見えてないのだ。絶対に。絵は見えてるように描かれなければならない。こいつは難しい。カメラには目が一つしかないし遠近法に忠実な目だから極端にそれを強調するクセがあるように思う。
 
 いま立ってる場所の道幅は坂の上と同じだよなあ、と哲学したりしている。竜安寺の遠近を強調する意図で故意にかけたといわれる(ホントか)塀じゃあるまいし幅が違うはずがないのである。のぼって確認したわけじゃないが。同じなら東山の絵にもこの道にも感じる月並みな感想は何だ。やはり洗脳されているに違いない。あの白黒東映かなあ犯人は。