課題「顔を探せ」(2012927・16度6:00)

 多摩美で写真を教えている十文字美信さんの最初のほうの課題は「顔を探せ」である。たまたま学生の作品展示をみてそれを知った。まあ初期課題としては妥当だろう。
 商業編集誌のほうでは顔に見えるというテーマは「ひまネタ」の代表である。それも妥当な評価と賛同いただけよう。ついでながら「動物写真」も代表的なそれである。豚が笑っているとかね。

 そしてここに掲げたのも仲間であるが、出会った場所が話題の竹島に近い隠岐であるから複雑な気分で対面する事態になった。どこの国の顔とも言えないが環太平洋民族の、そうとうにうらめしい顔なので、廃材が太平洋を越えて流れ着いたことで悲鳴をあげている国の漁民の顔にも見える。平板なタイプでなく、スペイン語なんかで暗く文句を言いそうでもある。
 たしかに初期の課題にふさわしくこの手の顔はどこにでもあるので、初期はとっくに過ぎて後期馬齢者の我輩などほとんど無視しているが、こいつだけは特別に世界の声を日本国民にも伝えようと労を惜しまなかったのである。でもまあやっぱりひまネタです。無視願いたい。