雁皮(2013319・北東向き10度4:00)

 楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)は和紙の材料になる。それは知っているが、どれもしっかりと観たことは無い。昨日三椏をいただいた。少し中華ふうであるが、おいしそうな花である。
 出雲に安部栄四郎という和紙作りの名人がいて、たしか人間国宝ではなかったか。いまは同じ名前で息子さんが継いでいて、旧電通通りの民芸店にあるが高価だ。雁皮を手にいれるのが難しいらしい。海風が年中吹き続ける海岸でしかとれないともいわれる。鳥取ならそういう海岸がありそうだ。

 先代の栄四郎は正倉院にある白鳳時代だかの紙の再現を依頼された。但し「観るだけで」という条件をつけられたという。ちょっと大袈裟な話だが、それに近い厳しさだったのだろう。たしかにあの時代の紙があんなに白いままというのは尋常ではない。触りがたい高貴さが漂う白である。
 良い障子紙は張って4年目くらいがいちばん白くなると野沢温泉の和紙職人が教えてくれた。
 明治から酸性紙を使うようになり、その紙はいずれ粉になると聞いたこともあるが、この150年間の和の文化を象徴するような体たらくである。
 三椏は枝先が必ず3つに分かれるという。たしかにそうなっている。