201281・・・これだね(新谷記)

『アンアン』編集部では堀内さんが採用する写真を選ぶ場面にほとんど立ち会っていました。あの膨大なネガから数枚をアッという間に「これだね」と言って選び出してしまうのは魔法にしか見えなかったから立ち会ったのです。これを「見習い」といいます。見習いは自分の作業は置いておき、そばに立って全てを見ていなくてはなりません。
ずっと見習いは続きましたが、何となく糸口がつかめてきたのは2年めくらいでした。僕の理解ではまずモデルが自然であること。だけどその人そのものがいるのでなく演じられていなければならないこと。などが肝要と思われました。
いま考えてみますと堀内さんはそのことをラルティーグから学んだのでした。ラルティーグの紹介した写真を見ると、まるで『アンアン』のようではないですか。『アンアン』でラルティーグの精神を形にしたかったいう証拠に『アンアン』で彼の特集までもしたのです。そういう点でも1971年は堀内さんにとって重大な年だったと思います。