2012630・・・合田佐和子さん(新谷記)

合田佐和子さんのお顔は(東京オリンピックのあたりだから)50年くらい前にみている。
当方20歳。
僕はそのころ大森のアパートにいて、銀座の画廊と古本の神保町に通うのを習慣としていた。
通学の便よりそっちが僕にとっては大事だった。
美術手帖』の巻末に画廊のスケジュール表があって、それを吟味し、ねらって行くのである。

銀座2丁目付近での合田さんの個展にはそうして行った。何か気になる惹句にひかれたのかも
しれない。展示は粘度細工のカラフルで奇妙な棒状の生き物が床いっぱいにいる、
という趣向であった。驚いたのは作品ではなくて会場にあこがれの滝口修三氏が現れたこと。
(そんなに注目されているんだ・・・。)
合田佐和子さんが思いもよらぬド美人だったことだった。武蔵美を出たばかりだったか。
その作品のバリエーションはそれから5年経って「平凡パンチ・女性版」に掘内さんの手で
紹介されて再会した。

もっと後になって『アンアン』の取材旅行で、堀内さん、合田さんの小さい娘さん、僕とで
野沢温泉に行った。不思議なことになるものだ。
相部屋の雑魚寝ふうだったから考えられないような事態である。
まだ雪が残る野沢温泉を長いマントを着た合田さんと歩くなんて、何なのだ?
話したことは全く覚えてない。

↑キレイな花は危うい高嶺にあるものだ。